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曲解・捏造オンパレード その1

「バーチャルウォーター」という概念を詐術の類であるとして、紹介者までもペテン師呼ばわりしている御仁に対して、これまでに5つのエントリを作成してきた。ちょっと飽きてきた感は否めないが、未完なので、これからもだらだらと追加エントリをアップするつもりでいる。

ところで、その御仁と交流のある方の中にTamanegiさんという人がいるのだが、どういう訳か彼が批判に対して代打で応答してくれるということになった。そして、Tamanegiさんのブログ「日本を識ろう」において二つのエントリがアップされた。本エントリは、それらに対する返答である。
一本目:「歪められた環境理論:バーチャルウォーター
二本目:「歪められた環境理論:バーチャルウォーター(回答編)


まず、一つ目のエントリの前半は、これまでの経緯の説明と、Tamanegiさんの視点からの状況把握について述べられている。細かいことも含めると、いくらでもツッコミどころがあるのだが、労多くして功少なしとなりそうだから、やめる。リクエストがあれば、そのかぎりではないが・・

で、Tamenegiさんから「VW説」なるものの説明が展開されるところから話を始めよう。先に言っておくと、Tamanegiさんは「概念」と「学説」を混同して使用している。というか、分けていない。

「概念」というのは、なんらかの知識体系的な枠組み(ルール)によって抜き取られた(抽象された)事物の一般的性質である。逆に言うと、一般的性質として表せないことは「概念」として成立しない。「概念」の否定は、知識体系上の欠陥、あるいは抽象の再現性における欠陥を指摘することでしか達成できない。

「学説」は「概念」で表される一般的性質を根拠や論拠(を構成するもの)として使用することによって導かれるものだ。「学説」が誤っていることを理由に、そこで使用された「概念」を否定することはできない。「学説」の誤りは、「概念」が「概念」として成立しない場合だけではなく、「概念」との関係性に問題がある場合にも発生するからである。「概念」で表される情報が根拠としては不十分であったり、論拠を構成するものとしては相応しくなかったりすると、論理性を失って、結論としての学説は誤った(or 真偽不明の)ものになる。要は、「概念」自体が含む問題ではなく、その使用上の問題であるということだ。


もちろん、「概念」として成立している意味がない(解らない)ということを理由にその「概念」の存在を否定することもできない。

ここで、本題に入る前に、私が彼らを批判するポイントを定めておくために、問題点を4つ挙げておく。

問題①:「学説(主張)」と「概念」を混同している
問題②:「学説(主張)」を捏造、曲解している
問題③:「学説(主張)」の根拠・論拠にならないということを以て、「概念」を否定している
問題④:「概念」が表すところの一般的性質とその意義・利用法を正しく理解していない


②と③は相互に関連しているので、複合的な問題が生じている。要するに、捏造・曲解しているのだから存在しない「学説(主張)」であるのに、そこに使用されていることを理由に「概念」を否定するという二重の過ちを犯しているというわけだ。




以上のことを踏まえて、話を進めていく。まず、Tamanegiさんの以下の記述について。

簡潔に私の認識確認を兼ねて説明すると、もともとのアラン教授によるVW説とは

・例えば中近東の様な利用可能水資源が絶対的に少ない国々で、さほど水を巡る国家間争いが激化しないのは何故か?
 →各種食糧を国外から輸入することで、結果的に自国生産よりも国内水資源を節約していると考えることができる

 という概念であり、すなわち「食糧輸入を間接的な水資源の輸入と擬することで、水資源を巡る争いを緩和させている要因としての食糧輸入を「仮想上の水」の移動に置き換えられる」という思考法の学説である。
 この思考法は、確かに特定の水不足地帯等での水資源紛争頻度の低さに論拠を与える論理であり、現在のところ否定する余地のない面白い学説であると思う。

 学説の名称そのものはのちに沖教授によって広まったもののようで、大元のVW説を過不足なくあらわした論文・解説は見当たらなかった。


「もともとのVW説(学説)とは・・・という概念であり、・・・という思考法の学説である」って、なんかおかしくない?「学説(主張)」と「概念」がごちゃまぜである(問題点①

アラン教授によって提出されたVW(バーチャルウォーター)という概念は、「"Virtual water" represents the amount of water needed to raise a certain quantity of food.」とあるように、ある一定量の食糧を生産するのに必要な水量を表している。
http://ag.arizona.edu/OALS/ALN/aln45/allan.html#virtual

そして、この概念を用いて説明された内容(学説)で代表的なものが、「食糧の輸入によって国内の水資源を節約できる」ということである。これを含めて、VWと関連づけられた言説が「VW説」なる名称で公式に発表された事例を知らないのだけど、もしかしたらTamanegiさんが勝手にそう呼んでいるのかもしれない

学説の名称そのものはのちに沖教授によって広まったもののようで

正確にはVWという概念と、それが使用された学説を日本で積極的に紹介したのは沖教授だったということかな。

さて、ではその次……沖教授によって提唱されているVW説とは、どのような概念か。アラン教授のものとはどこが異なるのか?
・VWの単位計算を、「投入水量」という定義を使い「現実投入水量」「仮想投入水量」に区分けする
・上記で「仮想>現実」である食糧輸入は、実際の水資源を節約していることになる
 (日本を含む多数の食糧輸入国においては、上記の式が成立している=水節約になっている)
・日本は世界最大の食糧輸入国であり、VWへの依存度が高く、この恩恵を世界へ還元すべき
参考:世界の水危機、日本の水問題

 手法的には、より厳密な(アランVW説では言及されていない)区分けをVWの概念に加えることで「節約状況の客観比較」を可能にする追加要素を与えている。
 そして学説の結語のひとつに、「食糧輸入国に対して、VW恩恵を他国へ還元すべし」という主張への発展があり、特に世界一の食糧輸入国である日本に大きく「還元」への努力を迫る提言としてまとめられている。


「沖教授によって提唱されているVW説とは、どのような概念か」か・・。ここでも「概念」と「学説」が混じっているね(問題点①)。

Tamanegiさんの挙げた項目の一つ目は、「概念」の精緻化についてだ。これはOK。
二つ目は、その精緻化されたVWという概念を使った(学)説の一例。個人的には学説というほどのものとは思えない。まぁ、学説の補強というくらいのものでしょう。

そして、三つ目。これははっきりいって捏造である(問題②)。
まず、「日本は世界最大の食糧輸入国」という事実は、還元が云々の話の根拠としては一切使われていない。これはTamanegiさんが後から勝手に付け加えたもの。そして、「VWへの依存度が高く」も実はかなり微妙な表現だ。本来、科学者が「高い」とか「低い」とかの程度を表す言葉を使うときは、どんな基準によるものかを示すことが重要視される。基準が示されずに使用された程度を表す言葉は無意味だから、あったとしても無視されるんだけれどもね。で、沖教授は、Tamanegiさんがリンクを貼ったページにおいて、VWへの依存度が「高い」ということを根拠に何かを主張したりはしていない。他では知らないが、もし「高い」ことを根拠に何かを主張していたら、それら個別に妥当性を検証すればいいだけの話。Tamanegiさんのモットーである「是々非々」でね。

そして、繰り返しになってしまうが、

>そして学説の結語のひとつに、「食糧輸入国に対して、VW恩恵を他国へ還元すべし」という主張への発展があり、特に世界一の食糧輸入国である日本に大きく「還元」への努力を迫る提言としてまとめられている。

この解釈は果たして妥当なのだろうか?
該当個所を含むパラグラフは「仮想水推定の新規性と意義、今後の展開」という見出しが付けられている。「間抜けな自然科学批判 その2」で既出であるが、一段落を再度引用。

また、生活をvirtual waterの輸入に頼っている日本は、その恩恵を世界へ還元することを考えることも必要でしょう。それには、例えば水資源開発など、利用可能な水を増やすODAを行うことが考えられ、ある意味ではそれは輸入超過しているvirtual waterを、まさに世界に還元していることになる、とも言えます。そうした援助や投資を考える際には、今回の研究成果が貴重な基礎資料となると考えられます。



やはり、「世界一の食糧輸入国である」という記述はない。「還元することを考えることも必要」を「還元すべし」と言い換えて『日本へ大きく「還元」への努力を迫る』と解釈するのも恣意的だ。たしかに、「生活をvirtual waterの輸入に頼っている日本は、その恩恵を世界へ還元することを考えることも必要」だけをみれば、不必要な負担を課そうとする意図があるのかもという危機感が発生するかもしれない。ここだけをみればね・・。さらに読み進めていくとどうだろうか?引用部分からは、沖教授は「恩恵を還元する」は「投資」としての側面もあると考えていることが読み取れるでしょう。どうしてその「負担」を投資的なものとして捉えられるのか、どうして「不必要な負担」ではなく「必要な負担」になり得るのか、その辺の根拠は書かれてはいないが、少なくともVWという概念で表される数値をもとに日本が水不足に対して負う責任を考えようとしているわけではない、ということは理解できる。その「負担」が「不必要」であると考えるのは、Tamanegiさんが勝手にそう思っているだけの話。しかも、その根拠は水資源開発において既にODAを適用しているという事実しかない。あんまりこういう台詞を使いたくないが、はっきりいえば勉強不足ということか。

結局、沖教授は精緻化されたこの概念が援助や投資を考えるのに利用できるとしかいっていなくて、その概念で表される内容が責任発生の根拠であるとは全く書いていない。つまり、VWという概念の使用例を出して意義を説明したに箇所に過ぎない。「学説の結語」などといえるものではないのである。沖教授がVWに言及した他の文章にあたってみると、責任云々の話がいかに思い込みの類であるかがわかる。「間抜けな自然科学批判 その2」では「バーチャルウォーター貿易という概念の功罪」について沖教授が書いたものを引用しているので、ご覧頂きたい。




「VW」という概念が必然的に「還元する」という話につながるなんてことはないのであるが、Tamanegiさんは一応そのことを理解しているらしい。であれば、「還元する」という話に使われたというだけで「VW」という概念を貶めるなんてことは許されない。しかし、例の御仁はどうなんでしょうね?そこらへんも含めて見ていこう。

最初に(「VW」という概念を)提唱したのは、ヨーロッパの何処かのバカなのだが・・・現在、結構な数の反日エコ屋がこの概念を使って、「食糧輸入国というのは食料輸出国の水資源 を大量輸入しているのと同じだ」という屁理屈で、「食料輸入大国」である日本に世界の水不足の責任をおっかぶせようとしている。「牛一頭を育てるのに必要 な牧草を育てるのには何千トンもの水が必要なのだから、牛肉を輸入するという事は何千トンもの水を輸入しているのと同じだ」なんて愚かな屁理屈を垂れ流し ている訳ね。・・・最早、危地害と言う他は無い。



この御仁は明らかに『「食料輸入大国」である日本に世界の水不足の責任をおっかぶせる』という主張につながるものとして、「VW」という概念をこきおろしている(問題点③)。

最初の提唱者(トニー・アレン氏)をバカ呼ばわりしたことについては、Tamanegiさんからの指摘後に訂正が入っている。原典をみればわかるが、トニー・アレン氏の学説において「食糧輸入国というのは食料輸出国の水資源 を(仮想的に)大量輸入しているのと同じだ(=みなせる)」ということが一つの論拠となっている。

学説(主張)が正しいことの要件(必要条件)として論拠(に含まれる理屈)が正しいということが求められる。だから、学説(主張)が正しいと判断したということは、その論拠も正しいと判断したということになる。従って、トニー・アレン氏の学説を支持した者は、「食糧輸入国というのは食料輸出国の水資源 を(仮想的に)大量輸入しているのと同じだ(=みなせる)」という部分にも納得したということになり、それを屁理屈と評価したのならば、すみやかに訂正しなくてはならない。当然、仮想的に輸入している水の量として使われるVWという概念についての悪評も撤回するべき。

もし、学説(主張)が誤りであるとしたらどうだろう?「論拠(に含まれる理屈)が正しい」というのは必要条件であって、十分条件ではないから、この条件が成立したとしても学説(主張)が誤っていることもある。だから、学説(主張)が間違っているからということを理由に、論拠(に含まれる理屈)が屁理屈であるという主張はできない。論拠として使われている理屈を否定するには、それ自体に含まれている欠陥を指摘するしかない。この御仁は、何を根拠に「危地害と言う他は無い」といっていたのだろうか・・?これも撤回しないといけないんじゃない?ねぇ、Tamanegiさん。

端的に書けない自分が情けないが、要するにとトニー・アレン氏の学説に納得した時点で、件の記事「バーチャルウォーター」における主張の大半は崩壊していることを自覚するべきだろう。ついでに多くのウソを含んでいることもね。論にもなっていないのに、私のエントリが反論になるはずがなかろう。嘘の指摘が大半なんだから。


おさらい

学説Aの根拠として概念Cが使われているという話があった。
ある人が学説Aは詐術であり、それは概念Cがエセ科学未満のゴミであるからだという。さらに、概念Cを最初に提起した者をバカ呼ばわり、また紹介した者をペテン師だという。

後日、その人は、概念Cがそれを提起した者によって学説Bに使われていたことを知る。学説Bには納得した模様。しかし、発言内容で撤回したのは、提起した者をバカ呼ばわりした部分のみ。概念Cの地位が回復することはなかった・・。

そして、概念Cの地位が落ちるきっかけになった学説A、実はそんなもの存在していなかったのだ。
概念Cが必然的に学説Aに結びつくものだという思い込みからスタートしたということだったのね。
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theme : 自然科学
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